2001年5月15日号
みやぎ国体をきっかけに
バリアフリー社会を実現したい
|
|
巴 雅人さん |
|
巴雅人さん/昭和29年秋田県生まれ。「バリアフリー国体を応援する会」代表。現職は東北ユニバーサルデザイン研究所主任研究員。チェアスキー指導員。家族は妻、子1名と犬1匹。 「みでがいみやぎ」 |
![]()
いよいよ「新世紀・みやぎ国体」本番の年がやってきた。バリアフリー国体と名付けられたこの大会では、競技も観戦も、障害や年齢の垣根をはずして誰もがいっしょに参加できる新しい国体のあり方が追求されている。段差を無くす、スロープや身障者用トイレを用意するなど、施設面での取り組みに加え、特徴的なのが多くの市民ボランティアの存在だ。巴雅人さんは、自らも障害をもち、車椅子を味方に活躍している「バリアフリー国体を応援する会」の代表である。「開催県になるのは50年に一度のこと。その上バリアフリー国体となれば何もしないわけにはいかない」というのが会の設立理由。大学で工業デザインを専攻した巴さんは、その知識と自分の車椅子体験を生かして福祉機器や、バリアフリー住宅の開発などを手がけてきた。スポーツをこよなく愛する巴さんは、東北にチェアスキーを広めた草分け的存在でもある。
車椅子の生活になったのは、20歳のとき。自動車事故が原因だった。生死の境をさまよう大事故から退院までに要した日数はちょうど十月十日。それは巴さんが、新しく生まれ直し、車椅子で独り立ちするまでの象徴的な時間だった。「病院からパチンコ屋に行くまでが大変で…」のんきなことを語る巴さんだが、ある日、高校時代の先生の姿を見かけて思わず横道に隠れてしまったという。「それが僕の車椅子体験最初のトラウマでした」。
バリアフリー国体を応援する会のメンバーは現在20人ほど。活動の中心はホームページによる大会関連情報の発信だ。「みでがいみやぎ(見ていってね宮城、の意味)」と名付けられたサイトを開くと、これまで情報が少なかった障害者スポーツ選手の情報、また会場や周辺の観光情報などが詳しく載っている。「ここに身障者用トイレがある、ここが大会会場だ、といういわば点の情報は多いのですが、空港から会場までどういうルートで行けばいいかとか、宿泊先から観光地までのルートなど、点と点を繋ぐ情報が少ないのです」。利用する側に立つと必要なものが見えてくる。「今回の取り組みをひとつの契機として、国体終了後も福祉情報を発信し続けていくつもりです。最終的に目指しているのは、情報技術を利用しての障害者の就労拡大なのです」。
今年3月、巴さんは松島、塩竃、石巻の旅館の女将たちにバリアフリーの講習会を行った。「高齢者や障害者のお客さんは、一度利用するとリピーターになりやすいので、これからのマーケットとして有望。せっかくのビジネスチャンスですから、尻込みしないで受けて立ってください。大規模な工事をしなくても、浴室に椅子を置くとか、ちょっとした福祉用具を備えるなどの工夫で対応は可能です」。女将の中には熱心に質問してくる人もいて、手応え十分。これからの展開が楽しみだ。
国体一連の催しの先陣を切って、5月26日(土)、27日(日)は、第1回全国障害者スポーツ大会のリハーサル大会が開かれる。これまで、別々に開催されていた身体障害者と知的障害者のスポーツ大会を統合した初めての大会だ。「実際に観ると、応援にも熱が入っておもしろさが断然違います」。スポーツを愛する気持ちには障害者も健常者もまったく違いはない。21世紀は、始まったばかり。みんなが暮らしやすい社会を見据えてダイナミックに行動する巴さん。その赴く所にはさわやかな風が吹き、新しい道ができる。
第56回国民体育大会
夏季大会 9月8日(土)〜11日(火)
秋季大会 10月13日(土)〜18日(木)第1回全国障害者スポーツ大会
本大会 10月27日(土)〜29日(月)
公開競技 9月24日(月)
リハーサル大会 5月26日(土)〜27日(日)
Copyright (C) 2001 Hokutousya. All rights Reserved.