2001年3月27日号


廃校の小学校校舎を
  グリーン・ツーリズム&体験学習の拠点に

平櫛  賢治さん

旧林際小学校運営事業組合事務局長。グリーン・ツーリズム・プランナー。東和町・登米町・津山町・本吉町・歌津町・志津川町の6町で作る「六つの国」のグリーン・ツーリズムにもかかわった。
問/志津川町入谷・グリーン・ツーリズム体験<校舎の宿>さんさん館(旧林際小学校)
問/TEL0226-46-5051
TEL0226-46-5633(予約専用)

 小学校が廃校になった。校舎は取り壊され、建材は産業廃棄物として処理される。ちょっと待て、それではあんまりもったいないと、卒業生たちが立ち上がった。
 宮城県志津川町入谷の旧林際小学校だ。廃校になったのは2年前の平成11年。林業で聞こえた土地柄だけに、地元の木を使った校舎は丈夫で美しく、風景によく合っている。地域の子どもはみんな通ったし、おとなにしてもたくさんの思い出がある。
 「公民館の方に旧林際小学校の校舎が何かに使えないかと相談され、ここへ案内してもらったとき、とっさにグリーン・ツーリズムの拠点になると思ったんです。校舎に惚れ込んでしまった」と、旧林際小学校運営事業組合・事務局長の平櫛賢治さん。ヨーロッパでグリーン・ツーリズムにふれ、日本の東北でもできないかと会社を起こして活動していた平櫛さんは、それまでも何度か仕事で志津川を訪れていた。
 「入谷の農家のうち11軒に神奈川県の中学生のホームスティをお願いしたことがあったんですよ。初めは乗り気でなかった農家の人も、やってみたら喜んだ。自分の食べるものは自分で取ってこいなんて言うと、子どもが鍬持ってタケノコ掘ってくる。びっくりするほどよく食べるし。おいしいおいしいと食べてくれるから、自分たちはそんなにおいしいものを食べていたのかと改めて気付いたりして」。
 2泊3日、学校ぐるみの体験学習だった。生まれて初めて牛にさわったり、野菜はきれいに洗われてパックされているものではないと気付いたり。素直に驚き、汗を流して働く子どもを見ているうちに、地元の人にも忘れていた自信と喜びが生まれてきたとか。1度目は学校行事で訪れた子どもが、夏休みに個人的にやってきたこともあった。相手校の文化祭に招かれ野菜を会場で売ったところ好評で、定期的に宅配便で送ってくれと頼まれたりもした。回を重ねるにつれ、泊まりに来る側と受け入れる側の交流が深まっている。
 「そういうのを含めて、いろいろな体験を校舎を拠点にやりたいと思って。それと、学校って地域の中心でしょ。運動会も学芸会も地域全部の行事だった。だからここも、土地の人が気軽に集まれる場所にしたいんです」。
 林際小学校の卒業生が中心になって運営事業組合が作られた。林業家、兼業農家、調理師、肥育牛農家など、職業はさまざま。組合員の職業が多様なほど体験の範囲も広がる。宿泊、食堂、研修、交流と、校舎の外観をそのままにして新しい機能をそなえた。入谷を囲む3つの山と、太陽がさんさん降り注ぐ里、という意味を込めて「さんさん館」と命名。平櫛さんも近所に家を借りて奥さんと引っ越してきた。
 林業と農業で生活してきた典型的な中間山地で、比較的最近までどの家でも蚕を飼っていた。坂の多い土地を少し歩くと、独特の蚕部屋をそなえた特徴のある家屋が点在している。風景に出合い、人に出会い、土地を深く楽しんでもらうにはもってこいの地域だ。軒先ウォッチング、蛍観察、すぐにもできることはたくさんある。やってみて気付いたところは、どんどん取り入れていくという。営業開始は4月1日。もちろんおとなも歓迎する。
(朝食付き1泊3800円〜、2食付き1泊5800円〜。4月の体験学習はトウモロコシ種まき、苗代まき、水田水路清掃、葉タバコ定植、イチゴ狩り、キノコの植菌など)


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