2001年3月13日号


自然が生み出す美しい色合いに魅せられて

神田 美穂さん

テキスタイル作家。大場キミ草木染工房にて修業後、独立。東京生まれで、現在は仙台市内に夫と暮らす。
問/アトリエ穂
T&F022・225・3261



 小さな三角形のニットをつなげたストールやバッグ、藍や柿渋で染めた和紙の糸を編んだジャケット…。自宅兼仕事場のマンションは、まるで小さなギャラリーのようだ。神田美穂さんは、草木で染めた糸や布を使ったアート作品やニットを作るテキスタイル作家。その豊かな発想は自在に広がる。
 「染めに使うのは、桜、ヨモギなどその辺によくある植物です。葉や茎、木の皮や実など使う部分や量、その木の樹齢や季節などによって出る色が微妙に違ってくるのが、草木染めの面白さのひとつですね」。
 この道に入ったのは、20代半ばを過ぎてから。東京で過ごした学生時代は映画作りに夢中になり、卒業後は映画配給会社に就職。宣伝の仕事を担当していた。それなりに仕事は面白かったけれど、いつかひとりで何かを作りたい、と考えていた。そんな時、図書館で一冊の本に出会う。山形で草木染工房を営む大場キミさんの作品集だった。
「いろんな色で染められた作品の写真をみていたら、無性に手紙を書きたくなったんです。そうしたら、遊びにいらっしゃいと返事をいただいて。少したってから工房を訪ねたんですが、こういう色の中にいたいなあって強く思ったんですね。その場で弟子にしてくださいと頼んでいました」。
 早速山形に移り住み、草木染めの技法と先生の積極的な生き様を学ぶ。1年半後、自分で作りたいものができて独立。染めた布をはぎ合わせて、さまざまな作品を作るようになった。
 染めた糸や布を編む技法を学びたいと思い始めた頃、転機が訪れる。ノルウェーのテキスタイルデザイナーの作品が、自分のやりたいものに近いことを知り、また手紙を出したのだ。それが縁で、1年間オスロ工芸大学で装飾テキスタイルを学ぶことになる。
 「無鉄砲なんですよ。何かをやりたいと思うと、他のことは全く目に入らなくなってしまうんです。ノルウェーでは、ニットや刺繍を取り入れた作品を朝から晩までひたすら作っていたんですが、幸せでしたね。ノルウェー語はほとんどわからなかったので、余計な雑音が耳に入ってこない分、集中できたのかもしれません。30歳を過ぎていたので、友達を作らなきゃとか、何かを吸収しなくちゃという気負いもなく、とにかく作品を作りたいという気持ちで過ごせたんです。周囲もそんな人ばかりで、結果的に多くのすばらしい友人に出会うことができました」。
 神田さんの作品は、小さなかけらがいくつも集まって、ひとつの大きな作品となるものが多い。モチーフは、たとえば木の年輪であったり川の中の石であったり、自然の中にある小さなパーツ。一つひとつは弱いものが、集まった時の強さを表したいのだという。 
 「草木染めの作品ができるまでには、植物や人やそれにまつわる物語があります。今後は、その物語をことばでも表現したいと思って書きためているところです。文章を書くのは、布や糸で表現するよりずっと辛いんですが、それでも書いておかなくちゃいけないという気持ちが突き上げてくるもので」。
 2年前から、美穂さんがアイデアを出し、妹の早穂さんが編むという二人三脚で作品に取り組んでいる。仙台で初めての作品展に向けて、夜を徹しての準備が続く。

神田美穂・神田早穂
ニット&エンブロイダリー展

3月14日(水)〜20日(火) 
11時〜19時(最終日〜16時)

アートスペース宙(そら)
仙台市青葉区国分町3・4・20清和ビル地下1階
仙台市営地下鉄勾当台公園下車 徒歩4分
問/022・268・8480


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