2001年2月20日号


採算合わないけど、やってて楽しいのは民家だね

佐藤好一郎さん

白石・人形の蔵オーナー。主に白石市内の中学校で33年間教師を勤めた後、平成7年に人形の蔵を開館。
問/白石・人形の蔵
TEL0224・26・1475
URL http://www4.ocn.ne.jp/~ninkura/

 140年近く前に建てられた古い蔵。そこに並べられたさまざまな人形たち。白石・人形の蔵は、佐藤好一郎さんが所蔵コレクションを公開している私設博物館だ。館内には、江戸時代から昭和初期にかけて、東北地方で作られた土人形を中心に、市松人形やビスクドール、昭和のなつかしグッズなど2万点近い所蔵品の中から3000点ほどを展示。季節ごとに企画展も開催する。
 「どんな人形にも、子どもを喜ばせようとした親心や大切にしていた子どもの心がこめられているんです。つき詰めれば、人々の温かな思いを飾っているようなものですね」。
 佐藤さんが人形を集め始めたのは、昭和39年頃、日本が高度経済成長期を迎えた時期。建築ラッシュであちこちの古い蔵が壊され、中で眠っていた人形が捨てられていた。当時中学校で社会科を教えていた佐藤さんは、歴史の教材として使えるのではないかと考え、安い値段でそれらを引き取った。最初に手に入れたのは、江戸時代に庶民の家におかれていた土人形。
 「色も変色してはげかけているんですが、よく見ると素朴で味があるんですね。作られた土地や時代によって顔や衣装も少しずつ違う。庶民の人形ですから、当時の風俗や人々の信仰心などもわかります。表情もユニークで、中には芸術的といえるものもあったりして、すっかり取りつかれてしまいました。今と違って、そんなものを欲しがる人はいなかったので、二束三文で手に入るんです。骨董屋さんも私のためにダンボール一箱、二箱と取っておいてくれるわけです」。
 博物館まで作った今でこそ、周囲の人々もよくここまで集めたと感心してくれるが、最初は「男のくせに人形を集めるなんて」と理解してもらえなかったという。少しずつ認めてくれるようになったものの、さすがに定年まで5年を残して教師をやめ、退職金を投じて博物館を作るというと反対の声が多かった。だが決心は変わらず、平成7年、開館にこぎつける。
 そんな佐藤さんを妻の昌子さんは、温かく見守ってきた。
 「博物館を作ると言い出した時も反対はしませんでした。正直言って、家中人形を入れた箱があふれていてどうにかして欲しいと思っていたんです。言い出したら聞かない人だし、展示すれば喜んでくれる人もいるのかなという思いもありましたね。今は、なるべく長生きしてふたりで頑張っていこうと話しているんですよ」。
 宣伝などはしていないが、少しずつ名前も知られ、何度も足を運んでくれる人も増えてきた。また、今では骨董屋を回らなくても自然と情報や物が集まるようになり、代々伝わる古い人形を引きとって欲しいという申し出も多い。
 「失われる運命だった人形を展示できるのはうれしいですね。私にとって今や人形は、生きがいを通り越して自分そのものといえるほど。今後は、古い物ばかりでなく、若い人が懐かしさを覚えるような人形やおもちゃなども充実させていきたいと思っています」。
 佐藤さんの夢はまだまだ膨らむ。



人形の蔵では「雛人形の歴史展」を4月1日(日)まで開催中。
伊達家拝領の古今雛や古い土雛など300点以上を展示。
■10時〜16時  
■毎週水曜休館 一般400円 高校生以下200円


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